市若の日記

生きている証しを見つけたい、主婦・市若のブログ

ファイブスター物語・第2話 クローソーについて

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デザイナー・永野護による壮大な長編漫画『ファイブスター物語』。

登場人物、メカ、ドラゴンや神々などとにかく設定が多い漫画の代表ですが、お話は王道の(誤解を招く言い方かもしれませんが)ヒューマンドラマだと思っています。

 

初めて読んだのはわたしが20歳くらいの時ですが、その時々の自分の年齢や置かれた状況で違う印象になって感じられます。その中でも特に最初に読んだ頃と最近とでガラッと思い入れが変わった第2話のヒロイン【クローソー】についてお話しします。

 

ファイブスター物語 第2話 あらすじ

主な登場人物

  • クローソー ……このお話(第2話)のヒロイン、人造人間
  • ラキシス ……クローソーの姉、レディオス・ソープの妻、人造人間
  • コーラス3世 ……コーラス王朝の君主
  • エルメラ王妃 ……コーラス3世の正妻、妊娠中
  • ウリクル ……コーラス3世のパートナー 兼 恋人、人造人間
  • レディオス・ソープ ……ラキシスの夫、アマテラスのミカド

 

2957年にウリクルが学生時代のコーラス3世のパートナーとなる(回想)

コーラス領土が隣国に攻め入られる

コーラス3世とウリクルが出陣

ウリクルは負傷したコーラス3世をかばって敵を引きつけたが死亡

エルメラ王妃はウリクルの死を嬉しいとクローソーに吐露する

レディオス・ソープとラキシスがコーラス領土へ

クローソーはコーラスへの思いをラキシスに打ち明ける

ラキシスの指示でクローソーがコーラス3世と出陣

コーラス3世死亡・クローソーは眠りにつき封印

 

なぜクローソーが嫌いだったのか

わたしは最初クローソーが嫌いでした。男好きのしそうなタレ目顔に、か弱くビクビクしたキャラクター。戦闘用に作られた人造人間にも関わらず、戦いを拒否するという振る舞い。戦いを嫌がるのは理由があるのですが、姉のラキシスが夫のソープと一緒に敵を打ち負かす第1話の痛快さが大好きだったので、その辺がもうギリギリと腹が立ってしょうがありませんでした。

そして最初にこの第2話あたりを読んだ時わたしも新婚だったので、女性の登場人物の中ではエルメラ王妃にいちばん同情していたのもあります。


ちょっと脱線しますが、とにかくコーラス3世はモテますよね。とってもチャーミングな人物だと思います。第1話で、クローソーを助けたり、ソープがラキシスを連れて逃走する時「道をあけて!」と人を退かせたり、ハンサムなだけでなくこの物語には珍しく普通にいい人です。

第2話の回想シーンでは、一週間たらずでモラード博士の信頼を得てウリクルをパートナーにもらい、大国の騎士ラルゴ・ケンタウリにも執着され…と女性だけでなく男性を引きつけるパワーもある、さすが国民に愛される王様だけあります。人たらしやな〜と思いつつ、わたしもあんまり嫌いになれないのです。

 

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クローソーの良さに気づけなかった別の理由

これは完全にわたしの読解力不足なのですが、第2話で【クローソーラキシスにコーラス3世への恋心を泣きながら打ち明けるシーン】の前部分がちょっとややこしいと思うのです……。

 

エストとティータが運命の邂逅!

それを見てクローソーは未来を予見!

ラキシスの藍色の髪の姿にモラード博士びっくり!

シャーリーとトラーオ切ないけどいい雰囲気!

ベッドがあるのに何も起こらないラキシスとソープ!

 ↓(一晩) 

なぜかジュノーンが起動しない!

 ↓

クローソーラキシスのシーン

 

と、ここは数ページで目まぐるしく場所と人物が入れ替わる怒涛の展開になっています。特に藍色ラキシス登場は読者を驚かせる仕掛けでもあると思いますし、作者が混乱を狙ってか仏語にしたりしているので、そこばかりに注目してしまっていました。

 

しかし、この一連のシーン及びクローソーラキシスの会話を、30歳を過ぎて何度か読むとわかったのです。

ああ、クローソーって妻子も恋人もいる年上の男性に恋してしまっただけの女の子なんだ…と。

 

一緒にはいられるけど、パートナーや恋人でもないし妻でもない。姉ラキシスのようにライバルたちを飛び越えることもできず、そもそも想い人のコーラス3世がすぐに死んでしまうことも予見しているんだと思うと、デモデモダッテと言うのも仕方ない、自分にできることを精一杯やるしかないよね…と肩を抱いてやりたい気持ちになってきたのです。

まさに「ふびんな子…」なのです。

この後、自分たちを殺すために生まれたクローソーを、口車に乗せてジュノーンとともに封印へ導くラキシスはやっぱり最高に強い女の子だと思います。

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戦争やMHの設定などは省略してクローソー周辺の人間関係だけ書きました。

おそらくここを読んでくださったのは『ファイブスター物語』を知らない方ではなくて、繰り返し読み込んでいる読者さんがほとんどでしょう。真剣なマニアも多いとは思いますが、解釈違い、読み間違いなどありましても、どうかやさしい気持ちでスルーしてくださいね。

 

拙く長い文章になりましたが、読んでいただいてありがとうございました!