平成の思い出・天皇陛下を見た話
こんばんは。
平成が終わり、明日から令和の始まりですね。今日は平成の思い出を語りたいと思います。
わたしは10年くらい前に一度だけ天皇陛下と皇后陛下を実際に自分の目で見たことがあるのです。
他の都市に比べて、両陛下が京都にいらっしゃる頻度は高いはずですが、わたしが住む郊外の街を訪問されるというのは珍しいことだったのだと思います。のちに市報のトップニュースとして掲載されたほどだったので。
その日、街は厳しい警備がしかれているのか、あきらかにシーンとしていました。
わたしのアルバイト先のスーパーマーケットの前も陛下が通る順路ということで、片側一車線ずつの道路が一本にまとめられ、沿道には低いバリケードが並べられていました。
わたしはいつも通り店の1階でレジ打ちの仕事をしていましたが、チーフが「どうせお客様もみんな見に行ってレジも空くから」と言うので、外に出る許可をもらって店の前で両陛下の乗る車を待つことにしました。
いつもは人もまばらな昼間の時間帯でしたが、道はバリケード沿いにすでに人だかりになっていました。手作りらしき日の丸の小旗を持っている人もいます。
やがて何の前触れもなく黒い車が静かにやってきました。
ゆっくりとなめらかな走りで人々の前に差し掛かります。後部座席の窓からは、テレビで見たのと同じ笑顔の皇后陛下が手を振っています。みんな一斉に手や小旗を振ったり、携帯やカメラで写真を撮ったり、歓声を上げて車を見送りました。わたしも嬉しくて一生懸命手を振りました。
しかし人の群れは解散しません。誰か言うにはもう一度車がここを通るそうなのです。今度は天皇陛下がお顔を見せると…。
数分後そのとおりに、今度は車が逆方向から走ってきました。あの天皇陛下が手を振っています。なんと優しく美しい笑顔だったでしょう。本当に輝くように見えました。
わたしは、その時なんとなく「有名な人を見たい」という気持ちで道ばたに並んでいただけだったのです。普段は愛国心とか国を意識するようなことはほとんどありません。
しかしながらあのお顔を見ると、やはり天皇陛下はこの日本の、日本国民の特別な存在、象徴ということを感じました。まるで人の心を照らす光のような…。